上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
ロボットの安全基準[2]
できればナアナアですましてほしい
関連
ロボットの安全基準[1] イヤな話題というのは筆が重くなるものだ。
ただでさえ更新の遅いこのブログだが、安全基準などというFM的にもっとも苦手な話題を持ってきてしまったため、ひどい有様になっている。
イヤならやめてしまえば良い、まったくその通りだが、イヤイヤながらも取り上げるのには理由がある。
FMは、諸般の事情で、高性能なロボットが欲しいと思っている。ここいらへんの個人的な事情については、おいおいこのブログで明らかにしていくとして(迷惑だとか言う外野の声はもちろん気にしない)、とにかく高性能なロボットが欲しいのである。
金額の多少はこのさい目をつぶる(つぶっていいものかどうかは不明だが)として、高性能なロボットが欲しい、というのが現在のFMの希望である。そして、残念ながら、安全基準というのは「高性能、高機能」という目標と相反する可能性がある。
危険なのはそばに人間がいるから 前回、ロボットの機能が人間のように高度になると危険になる、と書いたが、あまり細かい話はしなかった。危険というよりは、安全を確保する方法がない、というだけなのだが、もう少しだけ噛み砕いて説明しよう。
ロボットを使って人間の仕事を代替しようとする場合、どうしても不測の事態への対処が必要となってくる。産業用ロボットの場合にこの問題が生じないのは、作業が定型できちんと決まっているというのも理由の一つだが、もう一点、産業用ロボットが基本的に作業中に移動しない、ということも重要である。
安全確保は産業用ロボットの稼動範囲内から他のものを排除することでいちおう達成できる。もう少しはっきりいうと産業用ロボットは稼動範囲に人間を入れないことで安全確保をしている。勝手に稼動範囲に入ってきた人間が悪い、などと言っていては、あとでどんな文句を言われるかわからないから、産業用ロボットは人間が稼動範囲に入ると機能停止するようになっている。
生活分野で使うロボットでは、残念ながら、これができない。人間が近づくと機能を停止する掃除ロボットというのは、まあ、効率は悪そうだがなんとか我慢できる。掃除は留守の間にやってもらうというのも良いだろう。しかし、侵入者がロボットに近づいた時点で機能停止するのでは警備ロボットにならない。介護ロボットが人間にさわらずに、どうやって人間を介護するのかFMには想像もつかない。
人間とロボットのコラボレーションで危険は回避できるか? 稼動範囲内に人間がいる場合にどうやって安全確保をするかという問題については、ケースバイケース、個々の状況に応じての対応ということになるのだが、この場合、すべての状況に対応できるようにロボットを制御するのは原理的に不可能である。人間の行動を論理的に完全予測する方法がないからだ。予測が不完全である場合、対応も当然、不適当なものになり、安全確保は困難となる。
では、ロボット側で完全対応するのは無理として、人間側が協力するというのはどうだろう? ロボットがいつも同じ単機能行動をする場合には、ある程度可能だ。人間がロボットに協力して安全確保する、というのは、現在の工業製品の安全基準からすると、かなり不満足なものだが、原理的に不可能なものを無理強いするよりはマシだろう。たとえば、掃除ロボットが真っ直ぐ突進してくるような場合に、少し慣れれば避けるのは簡単なことだ。あまり高速で移動されるとやっかいだから、移動速度に制限を設けるというのも必要だろう。
このような形で、人間側の対応とロボットの機能制限で危険を回避していけば、それは新しいロボットの安全基準になるのではないだろうか?
高機能なロボットの行動を予測することは困難である ところで、真っ直ぐにしか移動しない掃除ロボットというのはどれくらい役に立つのだろうか? FMの家はせまいので、ごちゃごちゃとモノが置いてあって、居住スペースの直線部分というのは、ほとんどない。 やはり掃除ロボットを買うのなら、障害物を巧みに避けて移動しながら掃除するようなロボットが欲しいと思う。
しかし、危険回避という観点からは、このような複雑な動きをするロボットを避けるのは、逆にたいへん難しい。掃除中はじっとしていて、ロボットに避けてもらうか、やはり人間がいないときに掃除してもらうのが一番だろう。
ロボットが状況に応じて行動を変化させるようになると、人間側で対応するのにも限界が出てくる。
正面からやってくる人を避けようとして歩く向きを変えたところ、相手も回避行動に入って、かえって両者の位置が近くなって困ってしまう。なまじ両者が気を使った結果、見合いの状態になって身動きが取れなくなるのはよくあることだ。
ロボットが高機能になって色々な状況に対応するようになった場合、人間の行動を予測するのが困難なのと同じ理由で、ロボットの行動を予測するのも難しくなってくる。この段階で人間側の危険回避に対する負担が大きくなりすぎて、安全確保は困難となる。
コラボレーションには相応のコミュニケーション能力が必要 このような状況が発生するのは、コラボレーションを行う人間とロボットの間で円滑なコミュニケーションを成立させるのが、現時点で、非常に困難なことに起因している。互いに相手の行動を予測するのでなくて、「一声かければ」これらの問題はかなりの部分が解決する。予測するからはずれるのであって、これから「○○しますよ」と互いに予告しあえば問題はない。
そんなことができればの話だが。
人間はともかく、ロボット(もしくはコンピュータ)のコミュニケーション能力は(現段階では)極めて低い。危険回避にこの不完全なコミュニケーションを使うというのはあまりにも無謀である。
結局、現時点で可能な安全確保の方法は、
- ロボットの行動が人間に予測しやすいように機能限定して、なおかつ、人間がロボットの行動を予測しつつ安全確保する
- ロボットの稼動範囲に人間が立ち入らない、もしくは、人間が稼動範囲に来たら機能停止する
ぐらいしかない。
FMは安全なロボットがほしいわけではない で、まあ、行動が常に予測可能だったり、あるいは、近くに寄ると止まってしまうロボットが欲しいのか、と聞かれれば、FMとしては「いらない」と答えるしかないわけで..........
もしかすると、そういうロボットこそが本当に役に立って、確実に需要が見込めるのかもしれないのだが、少なくともFMは、そういう安全基準みたいなもので機能制限されたロボットが欲しいわけではない。
FMとしては、「安全」でなければ売れない、というのがいまひとつ理解できないので、できればこの件はダラダラなし崩しで進めてもらい、既成事実としてロボットがそこらへんにゴロゴロしだしてから安全について考える、ぐらいで何とかならないものかと考えているのである。まだ、さほど高機能とは言えない状態のロボットを安全にするために、わざわざ機能制限するというのは、やはりFMとしてはしのびない。
あまり大声で言う気はないし、言ったとしたら、どうせ誰かに怒られるだけなので、こんなところで愚痴っているだけなのだが。 まあ、そんな訳で、FMとしては、あまり「安全」の話はしたくなかったのである。
まとめ 高機能なロボットの行動を予測するのは人間の行動を予測するのと同じくらい難しい
多少危険でもかっこいいロボットが欲しい
ブログで小声で愚痴る、というのはどんな状態なのか少し気になる
スポンサーサイト